賃貸不動産を子供に託すなら贈与と相続のどちらがトクする?”財産の移転”について

今回は前回の記事に引き続き「相続対策の三本柱」の2つ目である”財産の移転”について解説していきますね。前回記事をチェックしていない方はなぜ賃貸不動産が相続対策に効果的といわれてるの?”評価の引き下げ”とはをご覧ください。

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賃貸不動産を子供に託すなら贈与と相続のどちらがトクする?”財産の移転”について

「相続対策の三本柱」⒉財産の移転

前回記事でもお話しましたが、相続対策の三本柱は下記の3つでしたよね。

  1. 評価の引き下げ
  2. 財産の移転
  3. 納税財源の確保

今回は不動産から少し離れて”⒉財産の移転”についてみていきたいと思います。これは親や祖父母が持っている財産を早い段階で息子や孫に上げてしまおうということで「生前贈与」と呼ばれる制度です。そうすれば、子供や孫に財産が増えるというのと同時に親や祖父母の財産は減らすことができて結果的に相続税を減額することができるというものです。

 

また、平成27年の贈与税の改正以降は親や祖父母などの直系尊属からの贈与を「特例贈与」、それ以外(例えば兄弟姉妹間の贈与)を「一般贈与」と分けており、特例贈与の方が一般贈与よりもやや低い税率に設定されています。さて、生前贈与である方から別の方へと財産を譲渡した場合基本的に贈与税というものが発生します。

 

その贈与税の税率と相続税の税率は最大税率で見れば贈与税4500万円超で55%(控除額640万円)、相続税6億円超で55%(控除額7200万円)と、どちらも55%と同じですが贈与税の方が厳しく見えます。しかし、この生前贈与をうまく利用すれば相続税よりも低い税率で財産を移転することが可能になります。

生前贈与を有効活用して財産を子供に移転する!

相続税は父や母などの被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に一括で払わなければなりません。その税率が何%なのかは財産目録などで持っている財産を調べればわかります。法定相続一人当たりが取得する財産が3億円を超えていた場合は、税率50%となり、控除額などは考慮に入れずに単純に考えると財産の半分は税金で納める必要があります。

 

しかし生前贈与であれば、毎年申告して毎年精算できるのがいいところです。例えば、600万円を贈与した場合、特例贈与の税率は20%です。これを10年間繰り返せば6000万円、20年間ならば1億2000万円が30%も低い税率で移転できるわけです。つまり、推測できる相続税の税率よりも低い税率で、繰り返し毎年贈与していけば、結果的に相続税より安いコストで財産を移転できます。

 

この生前贈与は毎年、基礎控除額が110万円認められています。つまり、110万円までなのであれば税金はタダで移転できるというワケなのです。たった110万円といっても10年かければ1100万円、20年であれば2200万円です。もし子供が5人いれば20年かければ1億1000万円が贈与税無しで移転できるということになりますよね。

 

また生前贈与は贈与を受けた個人単位での課税となるので複数人に贈与でき、総額でいくらになっても税率は一人ひとりの贈与された額に対してかかるのもポイントの一つです。例えば子供が3人いる場合、600万円ずつ贈与すれば一気に1800万円が移転でき、しかも贈与税は総額の1800万円ではなくて、一人ひとりの600万円にかかりますし(この場合も基礎控除の110万円が使えます)、税率は20%のままです。

 

財産が1億8000万円あると仮定したら、1800万円の移転を10年繰り返せば全ての財産を相続税率40%よりも低い税率で移転できてしまいます。20年かける余裕があるのであれば子供一人あたりの贈与が毎年300万円ずつ、3人で900万円になります。その場合、基礎控除後の贈与税率はなんと10%まで引き下げることもできるのです。

 

このように1年間に贈与された財産の総額に対して課税され毎年精算する「暦年課税」の生前贈与はおトクです。持っている財産が多い方、お子さんやお孫さんの直系尊属がたくさんいらっしゃる方は予想される相続税を下回る税率でどんどん移転していくという方法もあります。

相続税の速算表

法定相続人の取得金額 税率 控除額
1000万円以下 10%
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円以上 55% 7200万円

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相続税がかからない方におトクな”相続時精算課税”

なお、生前贈与には暦年課税以外に「相続時精算課税」という制度があり、贈与を受けた方がどちらが選択できるようになっています。これは、60歳以上の方から20歳以上の方や孫へ贈与する場合、一生のうちで2500万円までを非課税で移転できて、2500万円を超えた分の税率は一律20%ですが、相続が発生したときはそれぞれを贈与時の時価に持ち戻して再計算する点がポイントです。

 

相続時精算課税は相続税がかからない方にとっては活用しがいのある制度です。ただ顧問税理士さんによると「一度この制度を使用してしまうと、もう暦年課税による贈与制度が使用できなくなりますから、活用する際にはよく考えた方が良い」とのことです。また、不動産ということでは、住宅取得資金の贈与については優遇される制度もあります。

 

これは子供や孫の住宅購入目的の場合に、購入資金として810万円まで無税贈与できるという特例です。(一定の良質住宅は1310万円まで)。また、相続時精算課税制度を活用すれば、320万円なら贈与税を非課税で移転できます。(一定の良質住宅は3700万円まで)。ただし、あくまで子供や孫の住宅購入目的に限定された特例で、賃貸用を購入する際には使用できません(毎年非課税額は変わりますので要確認)。

 

すでにアパート等の不動産物件を持っている方の場合は、その土地と建物を子供に全部贈与してしまうと、贈与税がかなりの高額になってしまいます。そこで利用したいのが、土地と建物の所有者を分けるという戦法です。一般に、銀行から融資を受けるときなどもそうですが「土地の評価は高いが、建物の評価は低い」傾向にあります。

 

つまり、先に建物だけを贈与してしまうのです。そうすれば、相続税よりは低い税率で移転できる可能性が高く、また、その家賃収入は子供のものとなり、結果的には「将来の家賃分だけ財産も移転できる」というワケなのです。(ただし、土地の相続税評価は一定の場合を除き、更地としての評価となります)。

会社員Aさん
生前贈与をうまく活用すれば、相続税よりも低い税率で財産を子や孫に移していけるということだね!



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